新興国の金需要と金価格の上昇
中国は金取引が自由化された金選好度の高い国であり、インドは世界最大の金需要国でありますが、これらの国は2003年以降の世界的な経済発展の中で、極めて高い成長を続けてきました。
国民の所得が増えたことによって、金を求める人々も増えたわけですが、実需が期待できる新興国というセクターが育ってきたことで、金価格は上昇しやすい環境になりました。
実際、2008年に至る金価格の上昇をサポートしたのもこれらの新興国といえるでしょう。
ちなみに、ロシアのように、かつてはあまり金(ゴールド)に興味を示さなかった国々までが金を買うようになっています。
実需の増加に加えて、新興国における投資需要も膨らんできましたが、中国では金取引の自由化という形で突然マーケットが出現したりしています。
ジュエリーと投資対象としての金の二極化
インドでは古くから「インベストメント・ジュエリー」という言葉が用いられていますが、これは、22Kや24Kでできている金融的価値のあるジュエリーを指しています。
今後は底辺需要が広がりを見せる中で、新興国は有力な消費セクターとしての地位を保ちながら投資需要も増加し、ジュエリーとしての金と投資対象としての金という二極化が進むものと考えられます。
ただし、新興国、特にインドには退蔵されている金が多く、価格には敏感ですから、今後金相場が1000ドルを超えて上昇していく過程で、相当量のスクラップが放出される可能性があります。
なので、それを吸収してなお余りある投資需要が生まれるのかどうかということが、今後の金価格の動向を左右すると思われます。
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