どのような事件ですか?
1980年、石油で財をなしたハント兄弟による、銀の買い占め事件が起こりました。
1979年から1980年にかけては、第2次オイルショックと旧ソ連のアフガニスタン侵攻により、金(ゴールド)の価格が急騰しており、その後を追うように銀の価格も上昇していたのですが、金(ゴールド)に比べると割安感がありました。
ハント兄弟はここに注目したのです。
つまり、銀を買い占めれば、銀の価格が上昇したときに大儲けできると考え、豊富な資金を使って大量に買い占めたのです。
これにより銀の価格はみるみる上昇し、ついに1980年1月18日には50.35ドルという天文学的な値段をつけたのです。
しかしながら、ここまで高値になりますと、誰も買うものがいなくなってしまいます。
実際、帳簿上では利益が積み上がっていきますが、高値で買ってくれる投資家を見つけることができませんでした。
少しでも売ると、価格は下落する状況でした。
そして、急上昇した銀価格は一転、急降下し、大量の銀を抱えたまま、ハント兄弟は破産するに至ったのです。
売買というものは、買い主と売り主の希望が一致しなければ成立しませんから、相場を上昇させることはできても、買い主が見つからなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。
人為的につくられた価格は長続きしないということです。 |