企業にとっての為替レートと景気の関係は?
前回は、為替レートと景気の関係の関係について、その投資編でした。今回は、企業編です。
結論から申しますと...
為替レートが円安局面では、輸出企業の収益の増加が景気にプラスの影響を与えますが、逆に輸入品価格が上昇しますので、それによる物価の上昇が景気にマイナスに影響します。
また、為替レートが円高局面では、輸出企業の収益の減少が景気にマイナスの影響を与えますが、逆に輸入品価格が下がりますので、それによる国内需要の拡大が景気にプラスに影響します。
では、具体的に見ていきましょう。
為替レートが1ドル100円のときに1億円の売上がある輸出企業があると仮定します。1ドル=120円の円安になったとき、この輸出企業はどうなるでしょうか?
この仮定だとドルベースの売上は変わりませんが、円ベースでは1億2千万円の売上ですので、円安になったおかげで2千万円ほど売上がアップしました。
つまり、円安というのは、輸出企業の競争力を高めることになるので、それだけ景気にプラスの影響を与えるのです。
ところが、逆に輸入品の価格は高騰しますので、輸入企業にとっては減益の方向に作用します。
また、輸入品の価格が上昇することで国内の物価も上昇しますので、それが国内金利の上昇をも招くようになると景気にマイナスの影響を与えるようになります。
次に、為替レートが1ドル120円のとき、輸出売上が1億2千万円の輸出企業があると仮定します。
円高が進んで1ドル100円になってとき、この輸出企業はどうなるでしょうか?
ドルベースでの売上に変化はありませんが、円ベースでの売上は1億円になってしまいます。
要するに、円高というのは輸出企業の競争力を低下させてしまうのです。この輸出企業の競争力の低下=収益悪化は当然のことながら景気にマイナスの影響を与えます。
とはいえ、今度は輸入品の価格は安くなりますので、それが国内での輸入品の需要拡大につながり、ひいては景気にプラスの影響を与えます。
以上のように、為替レートと景気というのは密接に関係しているのですが、円安・円高局面の両方において、プラスに影響する面とマイナスに影響する面の双方を持ち合わせているのです。
なので、国内総生産(GDP)の算出方法には、どちらがどれだけ強くあらわれているかを知るために、純輸出(輸出−輸入)が含まれているのです。
|