金利と物価の関係とはどのようになっているのですか?
今回は、金利と物価の関係について書いてみたいと思います。
一般的には、物価が上がると金利も上がり、物価が下がると金利も下がるといわれています。なぜでしょうか?...
物価と金利は一般的には正比例の関係にあるといわれています。つまり、物価が上がれば金利も上がり...ということです。
物価がどんどん上がっていくことをインフレ(インフレーション)といいますが、これは言い方をかえれば、物の価値が上がりお金の価値が下がるということです。
具体的にいえば、今までは1,000円出せば100円のガムが10個買えたのに、ガムの値段が10倍になったら、1個しか買えなくなってしまったということです。
このように、物価が上昇してインフレになるんじゃないかな?という状況になると、人々は貯蓄を取り崩したり、値段がさらに上がる前に物を買っておこうという行動をとり始めます。
つまり、お金に対する需要が増えるわけです。
こうなると銀行などは貸出しをする資金が減っていきますので、たとえ金利を高く設定しても預金を集めようとします。こうして金利は上昇していくのです。
では、インフレ時は誰が得をするのでしょうか?
社会全体として見た場合には、インフレ時はお金の価値が下がっていくわけですから、借金をしている人などは実質的な金額が減っていきますので得をしているといえるでしょう。
その反対に、お金を貸している人は損をしています。また、年金や金利収入で生計を立てている人などは、生活が厳しくなったりするかもしれません。
企業としても物の価値が将来どうなるかわからない状況では、設備投資や生産を控えざるを得ません。
このように、物価が上昇していくとお金の価値、すなわちお金に対する信用がなくなっていきますので、政府や日銀が対策を打つわけです。
これがいわゆる金融引き締め策といわれるもので、インフレが本格的に加速する前に、公定歩合を上げたり、市場金利を高めに誘導したりするのです。
では、物価がどんどん下落していくデフレ(デフレーション)の場合はどうでしょうか?
この場合は、インフレのときと反対で、物の価値が下がり、お金の価値が上がるということですから、一見すると物が安く買えるのでいいことだらけのような気がする方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、実はそんなに単純なものではありません。
物価が下がると理論的に人々や企業はどのような行動をとるでしょうか?
物がどんどん下がっていくわけですから、人々は今よりももっとあとで物を買ったほうが安く買えるから得だ、なので消費を控え貯蓄をするようになります。
また、企業としては物やサービスの需要が減ってしまうので生産・販売活動を減らすようになります。
このように社会全体としては資金需要、借入需要が低下していきます。すると当然、銀行などはたとえ金利が低くてもお金を借りて欲しいので、どんどん金利が下がっていきます。
これが物価の下落による金利の低下です。
このように物価水準の下落は、消費の減少、生産活動の低下をもたらし、景気が後退していきますので、政府としてもほおっておくわけにはいきません。
なので、この場合、政府や日銀としては金融緩和政策をとることになります。
具体的には、デフレが加速していく前に、公定歩合の引下げや市場金利を低めに誘導していくなどの措置をとることになるのです。
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