人民元問題とは?
人民元問題というのは、中国の通貨である人民元が不当に安く抑えられているために、他国が貿易収支で不利益を被っているという考えのことをいいます。
中国は2005年7月21日まで、人民元と米ドルのレートは、固定相場制(ドル・ペッグ制)でした。つまり、1ドル=8.2765元程度でほぼ固定していたのです。
なので、人民元が高くなりそうになると、人民元が高くなるのを防ぐために、中国当局がドル買い・元売り介入を繰り返していました。
一方、中国経済は急成長と遂げていて、割安な人件費を背景として世界中に商品を輸出しています。
当然ですが、輸出をする際には、人民元が安い方が有利です。輸入業者は通貨高のほうが有利であり、輸出業者は通貨安の方が有利だからです。
つまり、近年の中国は、通貨安という有利な立場で世界中に商品を売り、経済成長してきたということがいえるのです。
これに対して、米国の貿易赤字は過去最高を更新しています。
このような状況に対して、米国が「中国の人民元は安いので、通貨を切り上げて高くしてくれ」という不満をぶつけたものが、この人民元問題ということなのです。
人民元の切り上げについて
人民元の切り上げは、2005年7月21日に行われ、その際、対ドルに対して、2%の切り上げが実施されました。
同時に、ドル・ペッグ制から通貨バスケット制※に移行しましたが、将来的には、変動相場制に移行することが期待されています。
※通貨バスケット制というのは、ユーロや円など複数の通貨からなるバスケットにペッグさせる制度のことです。 |